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記事閲読データでみるコロナ禍での生活者の意識変化

前回の記事では、SmartNewsのデータがもつ「潜在的な関心を浮き彫りにする特徴」をご紹介してきました。本記事では実際にSmartNewsのデータを活用しながら、コロナ初期と現在とで生活者の意識がどう変化したかを分析したいと思います。

 早いもので「コロナ禍」といわれ始めてから1年以上が経とうとしています。新型コロナウイルスが話題になり出した2020年春から世界は一変し、さまざまな新しいワードが生まれてきました。また「マスク」「除菌」というワードも以前とは違う重みを持って生活の中に根付いたように思われます。コロナ初期には「非日常」だったものが徐々に定着するにあたって、生活者の意識はどう変わったのでしょうか、コロナ禍の象徴アイテムである「マスク」「除菌」を中心にSmartNewsの閲読データで読み解いていきたいと思います。

記事量と関心量の変化

まず、コロナ初期(2020年1~3月)との比較で、記事量と関心量がどう変わったかを定量的にみていきましょう。

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「マスク」「除菌」をタイトルに含む記事数と関心量比較

「マスク」「除菌」いずれにおいても記事の本数はコロナ初期よりも増加しており、メディアによる取り扱いは増え続けています。一方で、生活者の関心量を示すPVや関心の深さを示す滞在時間の総量は半分近くに減っています。確かにマスクの品切れ等が切実だった頃と比べると生活者の関心が減少していることはイメージできますが、次のパートからこの傾向の中身を詳しく見ていきます。

併用されているワードの傾向

「マスク」「除菌」を含む記事タイトル中の併用ワード

「マスク」「除菌」を含む記事タイトル内の併用ワード

SmartNewsで閲覧された記事のうち、タイトルに「マスク」「除菌」のワードを含むものをそれぞれ選別し、どのような言葉とともに併用されているかを分析しています。
 いずれもコロナ初期では「新型コロナ」のワードとともに語られることが多く、ウイルス対策に関するワードが集中していますが、現在の方に目を移すと大きな変化が見られます。マスクにおいては、「不織布マスク」「ウレタン」などマスクの素材や「曇りにくい」「おしゃれ」などのワードが出ています。除菌では、「持ち運べる」「洗える」など機能性に関するワードや「必需品」といったワードが出現しています。
 コロナ初期は緊急事態になんとか対応しなければと必死になっていた一方で、現在では直接的なウイルス対策以外の機能性を求めるワードが増えていることから、医療用アイテムとしての期待を超えたものがマスクや除菌に求められるようになっていることが推察されます。

 ではどのようなところに関心が移っているのでしょうか。少し切り口を変えてビューティーカテゴリ内での「マスク」記事を見ていきます。

「マスク」に関する生活者の関心の変化

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「マスク」をタイトルに含む記事数と関心量の比較
(全体/ビューティーカテゴリ内)

マスク全体としては先述の通り「あたりまえ」化が進み、記事数は増えてもPVや滞在時間は大幅に下がる現象が見受けられますが(上図)、「ビューティー」カテゴリに絞ったマスク記事では状況が異なります(下図)。こちらを見ると記事数が桁違いに増えるとともに、PVと滞在時間も増加しているのがわかります。このことから、マスクがコロナによって日常生活に定着し欠かせない存在になる中で、生活者はマスクをすることを前提に美容について考えるようになった様子が窺えます。
 このように、人々の関心が定着し落ちついてきたと思われるものでも、切り口を変えると新しい注目のされ方を発見することがあります。

次回はビューティー領域におけるコロナの変化をさらに詳しくみていきたいと思います。